株式会社MapleSystemsを退職して1ヶ月が経ちました

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はじめに

この記事は退職エントリのように見せかけた長編自分語り怪文書です。
経営者より公開されていない具体的な社内事情やスキャンダルをお望みの方はお帰りください。
ただし、この記事を転職活動などに活用する気は毛頭ありませんので、同社のほかの方々が残した退職エントリのようにキラキラしたジャパニーズ・タテマエは無しで語ります。

入社の経緯

もともとは岐阜県大垣市にあるIT企業で働いていました。
色々な事情により転職前提のつもりで新卒入社し、3年目の終わりには辞めようという計画でいたため、3年目の春から転職活動を始めました。
自分で会社探しもしていたのですが、求人情報サービスの会社で働く友人の紹介でMapleSystems(以下メイプル)を知りました。
面接に行ったところ、開始30秒で内定。
提示された給与も現職の月給21万に対して40万と破格であったため、転職先はメイプルに決まりました。

メイプルとSESについて

メイプルの話に入る前に、SESの説明をしなければなりません。
SESとは、システムエンジニアリングサービス契約の略らしいです。
いわゆる客先常駐で、自社とは別の会社でエンジニアするお仕事の形式です。
「派遣」とは正式には異なるらしいですが、正直言って派遣で合ってます。
基本的に契約が成立さえしていれば黒字になるので、IT企業を自称する会社の多くはSESで稼いでやり繰りしています。
岐阜県で働いていたときの会社は受託半分、SES半分の会社でした。
メイプルはほぼSESとなっており、エンジニアは自社サービスのチームを除いて全員がどこかに常駐する前提で働いています。
メイプルのSESには「よくあるSES企業」と異なるいくつかのポジティブな特徴がありますが、詳しくは社長のnoteなどで公開されているのでそちらへ。
特に大きいのは、契約する現場(案件)の選択をほぼ完全にエンジニア自身が行うという点と、契約金はオープンになっており給与は契約金から決まるという点です。

実際の仕事

案件面談チュートリアルもロクになく何度かグダりながらも無事に常駐先が決まります。
メイプルから営業2社を挟みつつSESの会社と契約し、その会社の人と共に協力会社メンバーとして常駐先の会社で働きます。
4次請けSESです。
事前に説明は聞いていましたが、Java + Strutsという典型的レガシーシステムの改修がお仕事となります。
誤解のないよう補足しますが、メイプルで扱っている案件がすべてレガシーというわけではなく、選択肢にはJava8 + Springでそこそこ新しいものもありました。
契約金が最も高かったのでここに決めました。
前職での仕事もJava + Strutsだったので大丈夫だろうと油断していましたが、実際は極めて独自かつ不統一な作りのものを触ることになり、レガシー以前にこれはシステムの作りとしてヤバいという感想でした。
それでもどうにか数週間程度で他のメンバーと同等以上の活躍ができるようになり、そのうち実力を認められてミーティングの時間を借りて勉強会を主催するまでになりました。
勉強会ではチームメンバーの興味のあるところを考慮し、自己満足ネタではなく業務ですぐ使えるネタを選んだり、リクエストに応じたりで題材を決めていましたが、実際のところ、どこまで影響を与えられたか怪しいといった感触でした。
そんなこんなで楽しく仕事をしつつも不満もあったりで、転職前と変わらぬ日常を過ごしていました。
気楽にいられたのは、チームメンバーと仲が良かったことと、メイプルが「現場はどんどん変えてステップアップしていこう」という主義だったからでもあります。
しかしこの二つは僕の中では両立するのが難しい考え方です。
現場に愛着が湧いてしまうと、「変えていく」という前提が崩れてしまいます。
この歪みは、のちに他の要素と絡んでメンタル不調へと繋がっていきます。

メイプルの動向

入社日より前の話に遡ります。
面接のとき、前職の後輩によく似た社員が本社メンバーにいたのを覚えていました。
彼がどうしているのか聞いてみると、2月にはもう退職していたとのことでした。
また、入社した頃に営業さんとの窓口をしていた社員が3月末で退職しました。
4月半ばには、経営メンバーの一人がSlackで大騒ぎして退職。
ここから急激に退職ラッシュが始まり、経営メンバーを含むバックオフィスメンバーと自社サービス開発チームは7月末には全員退職してしまいます。
一言で言えば、外に出てる人以外、社長しか残ってない状態になりました。
退職の報告がある度、内向きに説明されるのは「本当にやりたいこと」だの「ステップアップ」だの…。
ジャパニーズ・タテマエばかりであることは容易に想像がつくのですが、ピュアな自分は愚直にそれを信じていました。
具体的には書きませんが、尋常じゃないことが起きていたことは察せられると思います。
加えて、6月ごろには内情を知る人からちょくちょく話を聞くことがありました。
その結果、会社に対する不信が急激に高まっていきます。単純ですね。
社内交流イベントには積極的に参加するほどに会社への帰属意識を自分で高めていたので、このダメージはより大きいものになります。
内情を知ってからは、キラキラ退職エントリが出る度に事実とのギャップから大きな苛立ちを感じていました。
あと、社員のほとんどは状況を知っていたであろうというのに、社内Slackでは日々社長ヨイショが流れていたというのがポイント高いですね。
お金稼げるからいいじゃんという人には別にいいのかもしれませんが、僕には生理的に無理でした。

例の事件

ここだけ会社関係なしの完全にプライベートの話です。
6月某日、仲のいい友人2名の間で訴訟レベルのトラブルが発生します。
どちらとも仲が良かったのですが、加害者は完全に音信不通、被害者からは相談されるという結果になりました。
僕の中でこの事件に関して第一に思っていたことは、「自分がとやかく言える立場ではない」でした。
理由は単純で、加害者の過去の行いに対して黙認をしていたからです。
彼は同様のトラブルを過去に複数回起こしていましたが、僕はそれを黙認して仲良く接していました。
訴訟になろうがならなかろうがやったことは同じです。
これまで黙認していた僕が今更彼を批判するのは都合がよすぎる話だと思います。
その程度の認識で済んでいればよかったのですが、前述の「現場に対する考え方の歪み」と「会社に対する不信」により精神的に参っていた僕は、ここから更なるダメージを受けていきます。
精神的に参ってしまった人間の思考は恐ろしいもので、何か悪いことがある度に自分の悪い点を探して自滅していきます。
ひとつ補足ですが、この不調は事件そのものがきっかけであり、相談を受けたことではないと考えています。
相談を受けていなかったとしても、それはそれで友人からの信用のなさという観点でより大きなダメージを受けていたと思うので、結果的に被害は抑えられたと思います。面倒なやつですね。
ただ、この相談から派生して起きたとある友人からの「嫌われ」については、どうにかしたかったなあと思っています。

結果、メンタル不調へ

そんなこんなで6月中旬には通勤中に嘔吐して危うく電車を止めそうになるほどの不調が出来上がりました。
過去に両親から精神科に通院してはいけないと釘を刺されていたため、通院という手段は選択肢にありませんでした。(過去に虐待を受けていたため思い出すとダメージを受ける)
精神的に困窮した人間は繰り返し判断を誤ります。
ここでとった行動は、「手当たり次第に相談する」でした。
相談とは、信頼できる相手にこそすべきものです。
ましてこの時点の僕はメンタル不調によりまともな喋りもできない状態です。
結果、相談した相手からは的外れな話をされ、人間不信に陥ります。
ツイッターでも荒れに荒れて、それを見た親からの干渉も受けてさらに状況は悪化していきます。
とにかく期限を決めて転職活動をしようと判断し、9月末での退職を決意します。

いざ、転職活動

1社目、もとい0社目には契約先のSES会社を受けました。
受けたというよりは、協力会社チームの上司に退職の相談をして誘われたという感じです。
しかし、そもそも現場に対する不満もあったので内定を断ることになりました。
メンタル不調によりまともな説明ができなかった結果、誤解(というか当然の反発)を受けて厳しい言葉を返されます。
そんなわけでオーバーキルダメージを受けながらもWantedlyでスカウトを2社から受け、面接に行きました。
1社目はメイプルの名前を知る会社でしたが、弱音を吐いた結果圧迫面接をされるというトンデモ具合で、当然落ちました。
「あなたみたいな人欲しがる会社なんてないですよ」は言っちゃいけないでしょ。(今でも根に持ってる)
2社目はスカウトされたのに書類選考で落ちました。なんでやねん。
同時進行で、友人から勧められた2社を受け、片方は最終面接、もう片方は1次面接で落ちました。
このほか、友人が働いているWeb系の会社に話をしに行きましたが、思っていたよりエンジニアとしての自分のレベルが低いということを認識しただけで受ける気力すら失ってしまいました。

仕事を辞めてからの自分

転職先は結局決まらないまま退職してしまいましたが、あのまま仕事を続けるという手段を取らなかった今気にしても仕方ない話だったと思っています。
メンタルの回復を気長に待ちつつ、転職活動に使えるポートフォリオでも作ろうと考えてゆったり過ごしています。
退職からひと月を経て、それなりにメンタルが回復してきたので1社受ける予定です。
ここ最近はRuby言語およびRailsフレームワークの学習のため、Railsチュートリアルを進めています。
あれだけ中身が荒れに荒れたメイプルでしたが、会社はしっかり残っていますしバックオフィスも社長と新しく入ったDaiさんの二人でちゃんと回せています。
自分の中では諸々の出来事に対する心の整理はついたと思っています。
誰かを恨むことなく、狭い視野で驕ることなく、堅実に努力を続けていける人間を目指して転職先を決めに挑もうと思います。
あと、無職をやっていて思ったのですが、「転職先を探さなきゃいけない無職」はそんなにのんびり暮らせないですね。
焦るのはよくないですが、そこまでのんきに暮らすことも僕にはできなかったです。

メンタル不調になった感想

ある種の自己分析記録です。ここからが本当の怪文書。
恐ろしいのが、不調時と平常時で人格変わってんじゃないのってくらいに考え方が変わるというところです。
一番きつかったのが、何か行動起こした結果さらに悪化してそれを自分で嘲笑うというパターンですね。
実際まともに思考できないからロクな結果にならないのは当たり前なんですが、そこからさらに傷口をえぐるという最悪なパターン。
思考もまともじゃなかったんですが、駅のホームで電車が来るたびにぼんやりと飛び込みを思い浮かべるということが頻発していたのもしんどい要素でした。
電車もですが、不調時には刃物を見ると怪我を思い浮かべるということも新たに分かりました。
あと印象に残っているのは、前述の朝から電車内で吐いたのと、悪夢で目が覚めるとき絶叫するという漫画みたいな展開です。
転職活動で落ちまくって自己肯定感が奈落の底に落ちていったのは今も残っています。
そもそもこれまでの僕があまりに驕りすぎていたので多少は仕方ないですね。
今はもうほとんど回復しているので他人事のように書けるのですが、調子悪いときは正常な自分が他人のように思える状態でした。
調子悪い状態で書いてたらこのセクションはもっと長くなっていたと思います。

結局メイプルはどういう会社だったのか

ここからはまともな話(願望)です。
ツイッターの小さなSES界隈で話題になっているらしいメイプルなので、どんな会社でどんな人におすすめかを書き残そうと思います。
一言で言うと、稼げるけど帰属意識とか持たない方がいいぞ、です。
いろんな意味で開き直れる人には好きなように働けて稼げる会社で良いと思います。
内部でトラブルはありましたし、今後もないとは言い切れませんが、会社が消えるようなことはよほどないです。
なので、稼げるけど潰れたりしないか心配という人は安心してください。
あと、ツイッターでよく見かける社長信者な感じの人には少し残念に思われるかもしれませんが、社長と一緒に仕事をしようと考えるのはおすすめできません。
超高難易度です。お察しください。
もう一点、案件を決める際にはある程度のコミュニケーション能力と運が求められますので、その辺自信ない人はやめといたほうがいいです。
会社からの助けとかほとんどありません。案件決まらないのは自己責任です。
あとはSESの向き不向きと同じだと思います。
実際稼げるかで言ったら本当に稼げる会社であるという点だけは保証します。(あくまで並みのSES企業と比べてですが)

さいごに

メイプルの皆さん、大変お世話になりました。この怒涛の半年は良くも悪くも一生の思い出になると思います。
書き始めるといくらでも出てきそうですが、メイプルを紹介してくださった友人、退職相談に乗ってくださり心の支えにもなってくださった現場の上司お二人、転職先を紹介してくださったなけいさん、ふぉのさん、木暮さん、相談相手となってくれた妻(ばたー氏)と炭界隈の皆さん、本当にありがとうございました。
加えて弊サイト利用者の皆さま、自尊心の維持という点で今も大きな支えとなっています。ありがとうございます。
今後とも、蝋燭をどうぞよろしくお願いいたします。

 
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